TOKYO2020 MY LEGACY #05:『Go Beyond』初代共同代表 山本華菜子さん&神野帆夏さん
TOKYO2020 MY LEGACY #05:『Go Beyond』初代共同代表 山本華菜子さん&神野帆夏さん
今回は、上智大学を拠点として活動しているソフィア オリンピック・パラリンピック 学生プロジェクト『Go Beyond 』初代共同代表の山本華菜子さんと神野帆夏さん(現在はOG)のお2人に『Go Beyond』の立ち上げ時のエピソードやこれまでの活動、そしてお2人が残したいMY LEGACYについてお話をお伺いしました。
『Go Beyond』とは?(以下、Go Beyond Webサイトより抜粋)
Go Beyondは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、共生社会の実現を目指し活動しているSOPPの学生プロジェクトです。
大学生だからこそ持つ視点や観点から、同世代はもちろん幅広い世代や社会に対して、誰もが輝ける社会の実現に向けてアプローチをしていきます。
平昌冬季パラリンピック調査に参加した学生2名が2018年6月に立ち上げ、約112名のメンバーで活動しています。(2020.2.1現在)
Go Beyond Webサイト:https://gobeyondatsophia.wixsite.com/sophia
「すごくキラキラしてる先輩」「とてつもなく真面目でしっかりしてる後輩」2人の出会いは平昌パラリンピック
2018年の平昌パラリンピックに調査団として参加したのが、華菜子先輩との出会いでした。それまでお互いに認識はありませんでした。
初めて華菜子先輩を見た時は「すごくキラキラしてる先輩がきたなぁ…」という印象を抱いたことを覚えています。
私の方は「とてつもなく真面目でしっかりした子が来たな」と思いました(笑)。こんなしっかりした子が私を見て「この先輩いいや」とか思われないかなと心配になりました(笑)。
調査団として参加した平昌パラリンピックの開会式では、とても貴重な経験を共にすることが出来ました。
平昌パラリンピック開会式は、私がこれまでの人生で経験した中でもトップレベルの感動でした。なんて良い空間なんだろう…”心が震える”とはこういうことなのかと思いました。
この”一緒に平昌パラリンピックの開会式を体感した”ということが、その後『Go Beyond』を立ち上げて、運営する上での大きなポイントになりました。
お互い考え方だったり、興味のある分野は細かいところでは違っていたりしますが、あの場で”一緒に体感した”ということが、活動についての方針を決めていく上での、足並みを揃える共通言語のようなものになったと感じています。
IPCの会長のアンドリュー・パーソンズさんの「一人で見る夢はただの夢でしかないが、みんなで見る夢は現実になる」という言葉を聞いた時、私は、この経験を2人だけで終わらせてしまうのはもったいないなという気持ちを抱きました。
平昌パラリンピックの開会式の感動が『Go Beyond』立ち上げのきっかけに
帰国後、神野の方から団体立ち上げについての提案がありました。私も同じことを思っていたので”その言葉を待っていた!”という気持ちでした。
「そうだね!やろう!」と即答したのを覚えています。
団体立ち上げ後、メンバー募集の説明会を実施したら、総勢で80名くらいの応募がありました。最初は小さい会議室で、何人かに説明ができればいいかなと思っていたので、当日、会議室が立ち見になるほど、私たちの話を多くの学生が聞いてくれた事に本当に驚きました。
会場では、みんなが私たちの話をすごく真剣に聞いてくれたのを覚えています。あ、この人たちとなら良い活動が出来るなとその場で思いました。
私自身もともと英語に興味があり、大会ではボランティアに関わりたいという思いがありました。そんな私と同じように(語学などのきっかけから)漠然と大会に関わりたいと思っていた学生がたくさんいたことを会場で実感しました。
また参加希望者の中には、地方出身者が多いのも特徴でした。地方から上京して、”東京で行われるTOKYO2020のイベントになにかしら関わりたい!”という想いが『Go Beyond』の立ち上げとうまくマッチしたのかなと思います。
『Go Beyond』のテーマを”共生社会”と掲げた理由について
『Go Beyond』では「共生社会の実現」を団体のテーマに掲げました。
「共生社会」という言葉を使うと決めた時は、言葉が重すぎないかな?分かりにくいかな?…これを目標にしていいのかな?と最初は迷いました。
ただ「誰もが輝ける社会を目指す」という『Go Beyond』の活動理念をイメージした時「共生社会」という言葉がそれにピタリとあてはまると思いました。
その理由には、私たちが共に見た平昌オリンピックの開会式にあります。
あの開会式を見たとき、なんていい空間なんだろう、この光景が社会で実現されたら…きっとこれが共生社会なんだなと思ったからです。
『Go Beyond』のメンバー1人1人ができることは様々です。そして、それを認めて分かり合うということは決して簡単なことではありません。
でも、あの平昌オリンピックの開会式で見た光景を目指すことが、団体の思い描く未来へと繋がる…そう強く思い「共生社会の実現」を掲げることにしました。
私も調査団として参加するまでは、パラリンピックに対する知識は、ほとんどありませんでした。
でも、あの開会式で色々な国から来た多様な選手や関係者を、みんながオープンに迎え入れる空間を見た時に”なんて素晴らしいんだろう”と思いました。
この開会式で感じた”違いを受け入れる”という点に着目したいと思い、団体では活動をセクションごとに分け、メンバー1人1人が自分の個性を活かして輝けることを目指すチーム編成にしました。
自分たちは「誰もが輝ける社会」を”作る”だけでないんだ、”その一員でもあるんだ”、そう意識してもらいたかったんです。
『Go Beyond』そのものが、共生社会の1つの形であって欲しい…そんな2人の願いが団体の理念や組織図、活動内容といったチームの細部に込められています。
『Go Beyond』のこれまでの活動を通して、2人が感じてきたこと
立ち上げから引退まで活動をしてきましたが、まだまだ共生社会という言葉には漠然としている部分があるなとは感じています。
ただ実現するための方法として、色々な切り口で社会と関わり、その切り口から絞った視野でそこを見つめてみて、また広い視野で社会全体を見つめる。
それを繰り返していくことが、共生社会という言葉に対して、過度な意識を持たずに、無意識化された状態で実現へ繋げていくためには必要なんだと学ぶことが出来ました。
セクションごとに様々な切り口で活動をしていく『Go Beyond』のスタイルは、それが実践された1つの形であるかなとは感じています。
私は「違う」という言葉に対して、もっと心地よい印象を抱けるような空気になったらいいのになと思っています。
「あなたと私って似ているね」と言われると安心するけど「あなたと私は違うね」だと、なぜか心配になったり違和感を感じたりしてしまいます。
でも同じ人なんて世の中に1人もいません。だからこそ、良いものを作っていけるのだと私は、活動を通して実感することが出来ました。
「違う」という言葉を聞いた時に、心配や不安な感情になるのではなく「あ、違ってよかった」。
そんな風に1人が1人が思えたら、共生社会の実現へつながっていくのかなと思います。
TOKYO2020 の後に世の中に残ってほしいLEGACY
自分と違う人の良さを理解して、お互いのことを認め合い、共に作りあっていけるような社会。そんな雰囲気が大会後に残ってほしいなと思います。
今のコロナ禍でも経済格差や差別問題など色々なことが起きていますが、”自分と違う人”のことも想い合って、一緒に歩んでいこうと思えるようなムードがTOKYO2020をきっかけに世の中で生まれて欲しいです。
TOKYO2020をきっかけに、世界中の人たちが「未来って明るいな」と思えるような気持ちを抱いてほしいなと思います。
”こんな世界があるなら私も生きていたいな” ”未来って明るいな、私もこの未来の一員になりたいな”
そんなことを思える人がたくさん増えたら、日本で開催する意味があったのかなと思います。
お2人が残したいTOKYO2020 MY LEGACY
私は、これから車椅子の子供たちの自立支援を一般社団法人に所属して行っていきます。
TOKYO2020を見た子供たちには、夢を持って、明るい未来を感じてほしいです!
そして、そんな子供達に少し年上の私たちのような大人が「うん、大丈夫だよ!一緒に生きてこうよ!」と堂々と胸を張って言えるような…そんな社会を作っていけたらなと思います。
子供たちが未来に対して、明るい夢を抱けるような支援や活動をこれからしていきたいです。
『Go Beyond』の活動を通して学んできたことを自分の未来につないでいきたいと思っています。具体的には、2024年のパリ大会の組織委員会に関わりたいという想いがあります。
ただそれはまだ夢の段階なので、まずはこれから社会に出る身として、個人として自分に何かできるのかを真剣に考えていきたいです。
1人の社会人として自分自身を成長させ、パリに関わることができれば…そう思ってます。
初代共同代表としてOGとして…これからの『Go Beyond』 メンバーへメッセージ
TOKYO2020の時には、私たちの時とは違う、新生『Go Beyond』として大会を迎えてほしいなと思っています。
そのためにこのタイミングでバトンを託したということもあるので、ぜひ今のメンバーには、『Go Beyond』にこれから新しい色を塗ってもらいたいです!
平昌パラリンピックに行ったことで、私は変われました。あそこで自分の心に火がつきました。
あの時、私が感じた想いをきっと今度は東京で多くのメンバーが感じることになるはずです。そうしたら、もっともっと強いメンバーが育つと思っています。
そんな姿を見るのが、私は今から楽しみです!そんな『Go Beyond』を陰ながら応援していきたいなと思います。