インタビュー 日本語版

”日常にはもっとアートが溢れてる”【k:soul:y a.k.a YANさん】インタビュー前編

投稿日:2019年11月24日 更新日:

2019年夏に全国13都市で同時開催された、「JAPAN LIVE ART MEETING 2019」。

絵描きやミュージシャンによるライブイベントのイベントを全国同時開催し、「アートの日」設立を目指す本プロジェクト。昨年から全国に展開され、昨年の5都市から、今年は13都市に広がっています。

今回、「えもてなし」では、この壮大な企画を発案し、全国のアーティストの陣頭指揮をとる、k:soul:y a.k.a YANさん(以下ヤンさん)に、開催に至るまでの経緯や今後の展望などを伺いました。

本インタビュー前編では、ヤンさんに、JAPAN LIVE ART MEETING 開催に至るまでの経緯やイベント開催におけるお心がけをお話いただき、後編では、ヤンさんのアートに目覚めたきっかけや今後のご自身やJAPAN LIVE ART MEETINGの展望を伺いました。

【JAPAN LIVE ART MEETING Webサイト】

https://jlamproject.wixsite.com/jlam


まず「LIVE ART MEETING」を始められたきっかけはなんでしょうか?

きっかけは、自分が日本一周をしながらライブペイントをやった時、ライブハウスには、必ず一人、その場所の主要な絵描きがいることに気づいたんです。各県に行き、自分がそういう人とライブペイントバトルをしながら、全国を回りました。

でもそういう人たちって、その県を離れると全然有名じゃなくて、そのライブハウスでは超有名だけど、隣町に行ったら誰も知らないという状態なんです。そこで「すごくいい絵を描くのに勿体無い」と感じたのがきっかけですね。

そこで2014年にまず、「芸術の街」と呼ばれる千葉県柏市に、全国で出会った「あ、こいつやばかったな!」っていう10人を集めて、音楽と一緒に駅前でパフォーマンスするっていうのから始めました。

なぜ8月2日を開催日にされているのですか?

親友が死んだ日なんです。その日、悲しくて肩を落として池袋歩いてたら「結婚おめでとー」って声が聞こえてきたんです。その時に「こんな気分でも、誰か知らない人のことで、ちょっと明るくなれるんだな」って。

だから、その日はそいつが死んじゃった日ですけど、「その日をどんだけ明るくできるか」って思いでやっています。

そうだったんですね。ヤンさんのようにライブペイントで全国を回られる方はそんなにいらっしゃらないですよね

そうですね。行こうと思えば、行けるんですけど、「それは絵描きとしてどうなの?」みたいなところもあって。「絵描きの仕事じゃねえ」という考えは多分あると思います。

ただ自分は、絵を描くだけじゃなく、同時進行で、ゴミ問題を解決するためのワークショップを企画して、その活動と並行しながら全国を回りました。

その地域の方との繋がりとかもあって、協力してもらいながら、広がっていったんですね。

そうです。だから割と、絵描きが踏み込まないとこに行っても、すんなり受け入れてもらえて回りやすくなったりしました。

最初、柏市ではどういう経緯で開催したのですか?

柏市にとりあえず企画書を持って行きました。柏で飲食の会社をやってる知り合いに「一緒になんかやらない?」って声をかけて、間に入ってもらいました。それがきっかけですね。

そのような交渉とかマネージメントって結構ハードルが高いのでは?

「絵描きが、そこやっちゃダメだよ」みたいな、タブーとされているところがありますよね。結構絶妙なラインなんですけど、まあ、この時代なんで、セルフマネジメントっていうのは、強みではありますね。

2010年の1回目のイベントの手応えはいかがでしたか。

いや、すごかったですね。爆発的な反響でした。柏駅に「デッキ広場」っていうのがあって、吹き抜けになっていて、1階からも2階からも見れるっていう構造だったので、絵描きは相当テンション上がったと思いますね。

そこで、手応えを得て、それを継続的にという流れに?

1年に1回開催する計画を立ててたんですけど、2、3年目で、「なんか違うな」って感じました。これじゃ広まんないし、その場では活性化になるかもしれないけど、そういうものが全国にあったほうが、もっと爆発的なスピードで広がるのではと。

絵描きが大嫌いな「王道」って言われるライブペイントを作れれば、こっちの勝ちだよなって思いました。それで、4年目から、集めてた絵描きに自分の県や市のリーダーになってもらって、自分たちで全部交渉もしてもらってイベントを開催する計画を立てました。

各々持ち帰ってもらって、「どんなイベントにお前たちはする?それを見て見たいんだよね」って言って。それから、去年初めて、実際に各都市に分けて開催という形がスタートしました。

そのイメージされていたものと比べて、去年、今年の開催はいかがでしたか。

いや、意外でしたね。カチカチな状態で1年やって、翌年からいろんなことが動き出すのかなと思っていたんですけど、1年目からどんどん、新聞、ラジオ、テレビとか入ってきたんで「あれ?なんだこれ?」みたいな感じでした。

そうですよね、加速度的に広がっているので驚きました。

ほんとは今年、20都市でやりたかったんですけど、どうしても自分が回れないっていうのと、リーダーとかに会ったこともないっていうのがあったんで、そこは全部来年に回して、まずは、濃密さを重視しました。

特に宮崎は集客がやばかったですね!1,000人規模で集客があって、プラスアーティストのライブスキルがすごすぎる。人を惹きつけて、あっと言わせる。だからきっとあの人数がずっといてくれたんだろうなって思います。

全13都市の開催で、何か統一されているルールはありますか?

まず「LIVE ART MEETING」のルールとして、「必ず、県・市と仕事をすること」。

そうすると、例えば、来年また何かあった時に「あ、絵描きのあいついたな」って仕事が降ってくるんですよ。そういうこともちゃんと頭に入れて動くこと。

あと「ライブの意味をしっかり考えること」。なにが「ライブ」なのか、公開制作なのか、何か線を走らせることがアートなのか。自分の中のアートをしっかり描きこむこと。それがまあ、ルールですかね。

勝手なイメージですけど、写真とかみて、すごい怖い方だったらどうしようって思ってて。気さくに答えてくださって安心しています。

そうですよね、それすっごい言われるんです。オラオラ系みたいな。実は割と真面目に考えているんです。恥ずかしい部分ですね、オラついときゃよかった(笑)。

でもアート系の人って、そういうのが苦手な人が多いですよね。

そこなんですよね。絵描きって、みんな肩組んで「わー」ってやりづらいっていうか、やったら負けみたいな部分があるんですよ。だからメンバーとはあくまで、「1:1:1」であろうって思ってます。だから、どっかでワイワイはしゃぎ始めたら、「お前ちょっと違うんじゃねえか?」って言います。

まずは「1:1であること」を大事にしてます。だからそこの都市のリーダーにはそこの都市の最先端をずっと走っててもらわないと、仕事はできない。

…うん。俺もそうっすけどね。


 

ヤンさん、ありがとうございました。

インタビュー後編では、ヤンさんのアートを始めたきっかけや、これからの展望をお聞きました!

インタビュー後編はこちら

-インタビュー, 日本語版


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

”日本の折り鶴で、2020年に世界中が笑顔になれる展覧会を”【ORIORIプロジェクト代表 坂木茜音さん】

はじめに(プロローグ) 今回、ご紹介するのは、2020年に1万羽のみんなの願いが書かれた折り鶴を集めた展覧会を開くために活動をされている”ORIORIプロジェクト”代表の坂木茜音さん。 (下段・左から …

“日本の本物の文化を体験してもらいたい” 【”Wakalture Experience”和香奈さん】

はじめに(プロローグ) ある日、インスタグラムを見ていると、とても楽しそうに書道と料理を体験している外国人観光客の写真が目に留まりました。 都内の教室で、楽しそうに日本文化を体験している外国人観光客と …

TOKYO2020 MY LEGACY #06:車椅子エンジニア 小澤徹さん(株式会社オーエックスエンジニアリング)

TOKYO2020 MY LEGACY #06:車椅子エンジニア 小澤徹さん(株式会社オーエックスエンジニアリング) TOKYO2020 MY LEGACY #06:車椅子エンジニア 小澤徹さん(株式 …

TOKYO2020 MY LEGACY #01:Nobukazu Hanaoka(Vice Chairman of Japan Para Athletics/participated in Athens and London Paralympics)

“Wakalture Experience offering real Japanese culture” 【”Wakalture Experience” Ms.Wakana】