今回のステキ人のご紹介は、映像クリエイター兼カフェオーナーのHirokawa Ayakaさん。
大学中退後、バックパッカーとして国内外を旅し、沖縄県宮古島や福島県南相馬では短期移住を経験した後、映像制作会社のアシスタントとして2年勤務。
その後、結婚、出産を経て「お母さんの挑戦を応援するためのクリエイティブカフェスペース」bailaを大阪天王寺区にオープン。
2020年3月からは、映像クリエイターとしても起業され、現在は「お母さんの挑戦を応援する」をコンセプトにイベント・セミナーの企画運営や動画コンテンツを発信されています。
今回ステキ人NO.004でご紹介した保坂茜さんが「お母さんという枠にとらわれずに、自分がやりたいことを楽しんで挑戦されているステキな人」とご縁を繋いでくださいました。
本インタビューでは、Ayakaさんがお母さんを応援するプロジェクトを立ち上げられたきっかけや活動の内容、そして今後の展望について伺いました。
映像制作アカウント「BUNCA.」https://instagram.com/bunca_create
カフェ「baila」https://instagram.com/baila_osaka
出産を機に大きく変わった人生観
現在の活動をする前から、国内外をバックパッカーとして旅して色々な人たちと出会ってきた経験があったので「自分にとって意味のあることをして生きていきたい」という思いが自分の中にありました。
そんな中で大きな転機となったのは、娘の出産です。
出身地の鎌倉での里帰り出産をしたのですが、痛みが本当にすごく…出産の時には、大阪で働いていた主人も駆けつけてくれ、私に付きっきりで寄り添ってくれました。
私たち夫婦は授り婚だったということもあり、出産を迎えるまでにも色々な試練があったのですが、出産はこれまで2人が経験してきた苦労や困難を共に乗り越えるための一大イベントというような感じで娘の誕生を迎えました。
娘が生まれた時は、肉体的にも精神的にも自分の全てを出し切ったような…今までにないような達成感がありました。
自分の子供が目に見える形で私の前に生まれてきてくれた喜びはもちろんですが、私自身も…自分の中の全てを出し切ったような…言葉で伝えるのはとても難しい感覚なのですが、言うならば”スーパーデトックス”状態と言えるような体験でした。娘が生まれた直後は、感動と衝撃と色々なものが重なって、しばらく全身が震えていたのを覚えています。
「世の中の出産を経験されたお母さんには、こんなことが起こっていたのか…」そんなことをベッドの上で思いました。
1人で子育てしない環境がお母さんには必要
出産してからは、里帰り先でずっと娘に付きっきりの毎日でした。なかなか寝ない子だったので毎日30分もゆっくりできる時間がありませんでした。
そんな状況がようやく少しだけ落ち着いたのは、娘が生まれてから3週間ほどしてからでした。
久しぶりに1人で外に出て、自然や街の景色を眺めながら散歩をしていると、ふと「…自分、今まですごく頑張ってたんだ..」という気持ちが自然と湧いてきました。
今日まで必死で自分自身のことを考えることができないくらいの時間を過ごしていたことに気づいたんです。
私は、そのことを大阪にいる主人に電話で伝えました。すると主人は…
「母としての自分も大切だけど、1人の女性としての気持ちも忘れんといてな」
という言葉をかけてくれました。
その言葉がとても嬉しかったのですが、同時に私は「お母さんになりすぎていた自分」がいたことに気がつきました。
知らず知らずのうちに、お母さんだからこうしなきゃ!というお母さんである自分像に苦しんでいたんです。
私は、子供を産む前は”育児ノイローゼ”という言葉は自分の性格的には無縁なものだと思っていました。でも、実際に自分が子育てを経験すると「そういう気持ちになってしまうことは誰にでもある」ということを実感しました。
お母さんを1人だけにしてしまうと、お母さん自身がまいってしまう…自分を見失ってしまう…だからこそ1人で子育てしない環境がお母さんには必要。私は「お母さんを1人にさせないための場所を作ろう」と決心しました。
そんな中で、タイミングよくコミュニティスペースとして利用できる空き家を大阪で見つけることができたので、”元気なママを作るための拠点となるカフェ作り”を始めました。
こうして出来たのが”お母さんの挑戦を応援するためのクリエイティブカフェスペース”bailaです。
baila(クリエイティブスペース+カフェ)Webサイト:https://buncacreate.studio.design/baila
挑戦するお母さんの姿を通して元気を与えたい
カフェスペースを作ってからは、近くの住宅街のお母さんたちをはじめ、近隣の様々なお母さんたちと交流を行いました。
子育てをしながらチャレンジする他のお母さんの姿を見たり、自分の活動を応援してくれる声を聞いたりするうちに「チャレンジするお母さんは元気で、そのお母さんの元気は世の中をもっと元気にするんじゃないか?」という問いが自分の中に生まれました。
お母さんの選択肢が狭くなってしまうと、子供の選択肢も狭くなってしまう…だから、お母さんが挑戦できる選択肢を増やそう。
自分自身の中に生まれた問いをきっかけに、私の活動の根幹となる「母親である前にひとりの女性として挑戦することを応援する」というコンセプトが生まれました。
チャレンジするお母さんの姿を通して全国のお母さんに元気を与えるプロジェクト「BUNCA.」が、ここから本格的にスタートしました。
2020年3月からは、動画クリエイターとして発信者に
「BUNCA.」はカフェを運営することが目的ではなく、お母さんの挑戦を応援することが目的なので、活動を全国に発信出来るようなクリエイティブなスキルを私自身も磨こう!と思いました。
以前、動画アシスタントをしていた経験があったので”動画クリエイターを本気で極めよう”と決心し、コロナ自粛期間中に動画制作の勉強をして、新たに動画クリエイターとしての肩書きも携えた活動を始めました。
コロナ禍に生まれた”STAY HOME MEMORIES PROJECT”
動画クリエイターとして、コロナウイルスによる自粛期間中に”STAY HOME MEMORIES PROJECT”というプロジェクトをプロデュースしました。
この企画は、コロナウイルスによる自粛期間を将来、振り返った時に「大変だったね。辛かったね。」とただネガティブな思い出だけにするのではなく「あの時は本当に大変だったね。でも、あんなに家族で一緒にいれた時期もなかったよね。子供と一緒にいれて、家族みんなでたくさん一緒に過ごせて幸せだったね」と思えるように、自粛期間中の家族の時間を動画で記録として残すために立ち上げたプロジェクトです。
この企画では「動画の制作依頼を受けます」と「動画の作り方をレクチャーします」という2つのパターンで声がけを行いました。
当初は「作って欲しい!」という声の方が多いかなと思っていたのですが、実際声をかけてみたら、40人中38人が「動画の作り方を教えて欲しい!」というリクエストでした。
コロナ禍の影響もあったとは思いますが「チャレンジをしたい!学びたい!」という気持ちを持っているお母さんがこんなにいるんだ、ということに改めて気づかされました。
チャレンジするお母さんの姿をより全国に伝えていきたい
今後は、チャレンジするお母さんの姿を全国に発信していきたいです。
前向きにチャレンジするお母さんの姿を日本中に届けて、日本中のお母さん…そして日本中が元気になってほしいです。
その発信方法にはあまりこだわっていませんが、今は発信するために必要な動画制作のスキルなどを日々磨いていきたいと思っています。
そして、私個人としてもチャレンジしていきたいことはたくさんあります。私は、独身時代、オーストラリアにワーホリに行きたいという目標を持っていました。
もちろんそれもまだ諦めていません。カフェの事業と子育てが少し落ち着いたらチャレンジしたいと思っています。
プロジェクトとしても、1人の女性としても、日々チャレンジする姿をこれからも発信していきたいです。
最後に…Ayakaさんが思うステキ人とは?
自分を生きている人
編集後記
Ayakaさんが出産、子育てを経験されて感じた「悩み」や「戸惑い」「挑戦する想い」。それは、全国のお母さんが、なかなか自分の言葉では言えない…1人では行動に起こせない…そんな胸の奥底に抱えている想いを代弁するものだと強く感じました。
全国のお母さんたちにAyakaさんが発信されるチャレンジする姿や想いが届き、たくさんのお母さんの心を独りにさせない環境が日本中に拡がって欲しいと思います。
これからもAyakaさんの母として1人の女性としてのチャレンジを心より応援しています!
2020年6月28日 インタビュー by Zoom(タナカ・さき)
文・タナカ
タイトルデザイン、似顔絵制作・タナカ